現場痕跡鑑定

現場痕跡鑑定とは

どんな事件や事故にでも現場というのは必ず存在します。
事件・事故の現場では、人の移動や物の様々な痕跡が残されているのです。
現場痕跡鑑定とは、それらの痕跡から現場では何が起こったのかを明らかにしていく鑑定です。

現場の活動

例えば、窃盗の事件現場は、大きく分けると、進入口、物色状況、逃走経路に区分されます。それぞれの現場から変化した箇所を探し出し、 犯行の痕跡であるかどうかを見極めます。現場には、それこそ様々な痕跡があり、中には、家族や出入り業者など、事件に関係ない人が残した痕跡もあります。 なので、その都度、被害者に状況を確認をして、犯行時に付着したものかどうかを判断し、採取活動に入ります。
そして、現場の観察をするにあたり、人が動けば進入から逃走までの痕跡が必ず存在するという強い意志を持ち、犯人の気持ちになってシミュレーションをすることが大切です。
ときには、床を這いつくばって観察したり、高所の確認をしたり、あるいは植物の枝折れや踏み倒しも発見します。 すると、普段では見えない痕跡がたくさん出現するのです。

現場痕跡の種類

事件・事故現場には様々な種類の痕跡が出現しますが、
大きく分けると擦過痕、破壊痕、液体痕の3つに分かれます。

  • 擦過痕
  • 破壊痕
  • 液体痕

1.擦過痕

擦過痕とは、物と物とが擦れたり、接触した際に残る痕跡のことです。

擦過痕の種類

現場に現れる擦過痕は、実に様々な種類があります。ここでは、いくつかの種類を簡単にご説明します。
・車体痕-車、バイク、自転車などを壁に擦ってできた痕跡
・払拭痕-雑巾などの拭いた痕跡
・ひきずり痕-家具などを引きずってできた痕跡
・布目痕-ガラスなどに付いた、シャツ、セーター、スーツの布目の痕跡
・手袋痕-手袋で触った後の痕跡、軍手、ドライバー用手袋、礼服用手袋、ゴム手袋などの痕跡

擦過痕からわかること

擦過痕とは、物と物とが擦れてできた痕跡を言います。だから、基本的に擦れた物と擦られた物の二つに痕跡が残ります。
その痕跡を詳細に観察すると、以下のようなことがわかります。

運動方向の
特定
壁や車などに残った擦過痕の形を見て、どの方向から擦れたかを判断します。また、擦過痕の終わりは、必ず擦れたまま抜けているか、擦れて止まったかのどちらかです。 これも、現場で何が起こったかを判明していく重要な情報となるのです。
また、擦過の角度も重要です。きれいな水平のものだったら、車のような機械的な物体などです。 斜めだったら、人によって作られた可能性が高くなります。
擦過物の
特定
擦過痕には、色や形が必ず存在します。例えば、車を壁に擦った場合は、車の塗料が壁に残ります。その色からどんな車が擦ったのかを特定します。 しかし、物によっては擦った時の摩擦熱で色が変化する場合もあるので、注意が必要です。
次に、擦過痕の形については、あたり前ですが、擦れた部分のみが擦過痕として残ります。なので、その形が太いのか細いのか、縞状になっているのかなどを観察して、擦過物の形を想像します。
さらに、その高さも重要です。水平な角度で機械的なものならば、擦れた物を予想して、擦過痕に当てはめみると、 高さがぴったりと一致して、特定できることがしばしばあります。
擦過回数の
特定
現場での動きが複雑ならば、擦過痕が複数に重なることがあります。これには2つの場合が考えられます。ひとつ目は、同じ物が何度も擦過していること。ふたつ目は 違う物が同じ場所で擦過していることです。
いずれの場合にしても、何回の擦過があるかを特定するには、擦過痕の輪郭が重要です。 擦過痕は運動方向が一定なので、形が急激に変わったりはしません。方向が変わったり、細くなったり、太くなったりした場合は2回以上の擦過が重なりあっています。 そのように、何種類の擦過痕かをひとつひとつ分けて、現場で何が起こったのかを把握していくのです。

2.破壊痕

物が衝突すれば、ぶつかったところは破損されます。この部分から現場でなにが起こったのかを特定していきます。 破損痕から主に以下のような事が分かります。

生成器の特定

まず、生成器とは、その破損が起こった器具の事です。つまり、何で破壊されているかという事です。
これの特定は、始めに破損の大きさを特定します。破損をしているのは、物体の表面ですので、破損部分の面積を特定できます。 次に、破損の深さです。破損する時に生成器はどこまで深く入っていったかを特定します。
この二つから、生成器の打撃部分がどのような形をしているかが分かります。 その打撃部分の形から何の道具で破壊されたかを予想して、実際に検証してみるのです。そのようにして、ぴったりと一致すれば生成器が特定できます。

生成過程の特定

生成過程とは、どこから、どのようにして物を破壊したか、という事です。
まず、どこから衝突があったのかを特定するには、破壊角度を計測するのが重要です。 例えば、弾痕のように衝突した物体にめり込むようなものは、入弾角度を算出すれば、どこから撃たれたのかが分かります。
さらに、その角度から衝突が起こるには、どの位置からどのような体勢で衝突があったのかを推察します。こうして、何が、どのような角度で、どのようにして、物にぶつかったのかを特定していきます。

3.液体痕

液体痕とは、物に付着した液体や液体が蒸発してできた痕跡を言います。また、目に見えるだけが液体痕ではありません。液体の種類によっては 薬品を使って、見えなかった痕跡を見えるようにします。これらを総称して液体痕と呼ぶのです。
そして、液体痕からは、主に以下のような事がわかります。

液体の特定

現場から液体痕が発見された時に、その液体が何かを特定することです。血液、唾液、油類、など様々な種類があるので、見た目で何の液体かを見当します。次に、その予想が当たっているのかどうかを様々な薬品を使って特定を行います。
例えば、血液ならばロイコマラカトグリーンという薬品を使い、血液の反応を示したら血液と特定します。このようにして、液体痕を発見したら、ひとつひとつ検査し、液体を特定します。

付着過程の特定

液体が特定できたら、その液体がどの高さから、どのような角度で付着したかを特定します。それが付着過程の特定です。
液体は低い高さから落ちればきれいな円形をしていますが、高いところから落ちると、円形の周りに細かな飛沫が飛び散ります。 また、円形がいびつな形をしていたら、真上からではなくて、斜めから付着しています。
このように観察すると、どこの位置から、どのような角度で付着したかが分かるので、現場でどのような動きがあったのかを特定する事ができます。

現場痕跡鑑定の料金

一般調査鑑定

基本料金
¥220,000-(税込)
作成期間
2週間以内

一般調査とは、物件の痕跡から、どのような行動が行われたかを調査します。
そして、その調査内容と結果を鑑定書にまとめて報告します。

  • ・擦過痕、破壊痕、液体痕の発見
  • ・各種痕跡の生成原因の特定
  • ・鑑定書1部作成
[追加項目]
項目金額備考
追加鑑定料¥110,000-
(税込)
調査したい内容が増えた場合に発生します。
副本作成¥11,000-
(税込)
鑑定書を2通以上作成する場合に1通ごとに発生します。

精密鑑定

基本料金
¥440,000-(税込)
作成期間
1ヶ月

一般調査鑑定よりもより詳細な説明が書き加えられた鑑定です。裁判所へ証拠として提出する場合は、こちらの鑑定を推奨しております。

  • ・擦過痕、破壊痕、液体痕の発見
  • ・各種痕跡の生成原因の特定
  • ・各種痕跡の検証実験
  • ・鑑定書3部作成
  • ・証人尋問への出廷
[追加項目]
項目金額備考
追加鑑定料¥220,000-
(税込)
調査したい内容が増えた場合に発生します。
副本作成¥16,500-
(税込)
鑑定書を4通以上作成する場合に1通ごとに発生します。

共通事項

  • ・ご相談料は、初回1時間が¥5,500(税込)、以降30分ごとに¥5,500(税込)となります。
    ※リモート鑑定相談は無料です。
    ※なお、ご相談の後に鑑定のご依頼をいただける場合は相談料が発生いたしません。
  • ・ご依頼いただきましたら、全額前払いとなります。
  • ・出張費用(1人)は、日当¥33,000(税込)+ 交通費(実費)です。
  • ・その他、特殊なものについてはお見積もりいたします。

お支払い方法

  • ・現金振り込み、PayPay、LinePayがご利用可能です。

    • PayPay
    • LINE Pay

現場痕跡鑑定の流れ

ご依頼から鑑定書のお渡しまでを手順にそってご説明してまいります。
また、遠方からのご依頼の場合は、鑑定依頼書を印刷して必要事項をご記入の上、
鑑定に使用する物件とともに宅急便など追跡可能な方法で送付して下さい。

  1. STEP 1

    ご依頼

    お電話やメールにて、ご依頼者様から案件内容の詳細をお伺いし、
    その案件を弊社で解決できるかご提案いたします。
    ご了承いただけましたら、正式に依頼をお受けします。

    ※お手数ですが、ご依頼の際は鑑定依頼書の作成をお願いいたします。

  2. 約10日
  3. STEP 2

    痕跡形状・個数・位置の確認

    [現場の確保]
    現場痕跡はなんといっても現場が命です。その時に何が起こったかを判断する材料は全て現場にあります。
    まず、現場がそのままで状態で残っていることがベストです。

    [物件の確保]
    掃除するなどして現場が残っていない場合は、現場に残されていた物が必要です。
    どんな些細なものでも役に立つかもしれませんので、物件があれば全てお預かりします。

    [写真の確保]
    現場も物件も残っていない場合は、事件当時の現場の写真が必要となります。
    これも数があればあるほど良いです。
    しかし、現場も物件も写真もない時は残念ながら鑑定不能となってしまいます。

  4. 約5日
  5. STEP 3

    中間報告

    鑑定の途中経過を中間報告としてご連絡いたします。この時に、追加の資料がございましたらお受けいたします。

  6. 約10日
  7. STEP 4

    鑑定書作成&お渡し

    鑑定結果やその結果に至った経過を写真などを使って分かりやすく鑑定書にまとめます。
    鑑定結果のご説明後、作成した鑑定書をお渡しします。また、お預かりしていた物件も全てお返しします。
    その後、わからない事やご相談したい事があれば、お気軽にご連絡下さい。

現場痕跡鑑定に関する
よくあるご質問

現場痕跡鑑定ってなんですか?

現場痕跡鑑定とは、事件があった場所で事件に関わるものを発見・収集して、科学的な鑑定を行い、現場でどのよう事が起こったのかを的確に把握することです。
主な鑑定の種類としては、足跡鑑定、血痕鑑定、タイヤ痕鑑定、擦過痕鑑定、破壊痕鑑定などがあります。

※現場痕跡鑑定の詳細は、こちらをご覧下さい

靴下を履いていても痕跡は残りますか?

靴下の痕跡は残ります。
靴下の状態だと足跡は残らないので人の特定には至りませんが、足の全長や横幅の広さなどが分かります。

足跡が雪面に残っていたので写真を撮りました。鑑定できますか?

鑑定できます。
しかし、撮影する時に、足跡を斜めから撮ってしまうと画像が歪んでしまって鑑定ができません。
真上から撮った写真なら問題なく鑑定できます。
そして、足跡の大きさが分かるように足跡の脇にスケールを置くことが重要です。

実際の現場がなくなってしまったのですが、鑑定できますか?

鑑定できます。
実際の現場がないのに、どのようにして鑑定を行うかと言いますと、現場の写真や動画を使用します。この場合は、写真が3~4枚程度ではなく、現場をくまなく撮影したものが必要となります。
また、現場にあった物からでも鑑定ができます。例えば、交通事故の場合は、被害者の着ていた洋服、衝突した車、ヘルメットなどがあります。

現場痕跡鑑定について
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