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指紋以外で個人を特定できる意外なもの

○唇紋・耳の形

人間の体にはあまり知られていない、個人が特定できる意外な部位がいくつもあります。

 

まずは「唇紋」。唇の模様である唇紋は、しわや溝のパターンが指紋と同じで一生変わらず、同じ形の人はいません。指紋ほど重要視されてはいませんが、少しずつ研究が進められているそうです。

 

次に「耳」。耳の形は素人が見ても何となく形が違うと分かるくらいに個性的な形をしています。大小はもちろん、カーブや穴の位置、耳の角度などよく見てみるとけっこう違います。イギリスのとある大学で行った、耳の形で個人を特定する調査ではほぼ100%の正解率になったそうです。

 

こう見ると色々な部位で個人の識別が可能になってきているのですね。でも、事件現場や事故現場で唇紋や耳の跡が残っていることはあまりないでしょうから、やはり指紋鑑定の有効性が一番高いのかもしれません。

 

○足跡

ニュースなどで「犯人と思われる足跡が発見され~」「男性のものと思われる足跡が~」など、足跡に関することが報道されているのを時々見かけます。

では、足跡からどんなことが分かるのでしょうか?

 

まず、足跡の数や種類などから現場に何人の人がいたのか、その足跡の動きや向きから侵入経路や犯行状況、逃走経路などが分かります。これらは犯行に関する手がかりとなります。

 

犯人自身については、靴底の形から靴の種類やメーカーなどが分かります。 靴の種類などが分かれば靴の販売ルートから犯人を絞ることも可能です。

他にも、足跡の大きさや歩幅などから犯人の身長や性別なども分かります。そのため、大体の身長の目星をつけることができるのです。

 

10年以上前、愛知県名古屋市で警察官が職務質問をしようとした男性ともみ合いとなり、鉄製工具に刺されて負傷する事件が起きました。

警察が現場に残っていた足跡を調査すると、県内で数足しか出回っていない高級ブランドのスニーカーのものと判明。名古屋市内の靴屋で購入した時のことを店員が覚えており、男性が逮捕されるという事案もありました。

 

自分のサイズに合わない靴を履いたり、男性が女性物の靴を履いてごまかそうとしても、科学的に分析をすれば本当の身長や性別が分かるそうです。

 

また、職業が分かる場合もあります。とび職などの足場を使って作業をする人はかかとが擦り減ることが少なく、土踏まずが擦り減っていることが多いため、普通の足跡よりも土踏まずの跡が小さいことがあるそうです。

また、足先が外側を向いている足跡(いわゆるがに股)は交通機関の乗務員やバレエ選手など、がに股でいる時間が長い人に多く見られるそう。足をよく使う職業だとその分、クセが出やすいみたいです。

 

他にも職業ではありませんが、剣道などを長年続けているとすり足が身についているため足跡も特徴的になるのだとか。

 

○足紋

指紋は一人一人異なる紋様で個人を特定する際に役立っていますが、足にも足紋があり、指紋と同様に温度感知、材質感知などの役割を果たしています。

また、足紋鑑定も個人を特定する際の方法としてご利用できます。

 

○掌紋

掌紋とは、手のひらの全体に見られる皮膚の細かな線状の紋理のことを言います。自分の手のひらをよく見てみると頭脳線や生命線、感情線といった有名な手相の線の他、それらの線に紛れて薄く細かな線が無数にあることが分かります。

 

渦を巻いていたり、線が並んでいたりとその形は様々です。

この掌紋も指紋と同様に同じものは2つとなく、一生変わることがありません。そのため、犯罪捜査などにおける個人の鑑別に用いられています。

 

指紋に掌紋。手は自分自身を証明するのに不可欠な部位なのですね。

 

○歯形

歯形は、治療をした歯科医院にカルテで最低5年間は保管されていますが、各県の歯科医師会では特別災害等に対応するには、継続保管をどうしたら良いか考えているようです。

ここで注目されるのは、歯形は治療したクリニックが保有しているということです。

 

○DNA

これに対して、DNAの照合は、遺体に該当しそうな方の個人資料が本人の居宅に残留した唾液や皮膚片等が主になります。

しかし、津波被害のような場合は、自宅が流されてしまうので、本人のDNAが採れないことがほとんどです。

 

指紋は、現在、警察庁で保管する犯罪者指紋(1100万人位)であり、同じくDNAは2005年ごろから逮捕した犯罪者からDNA資料を収集してデータベースに保管しています。

 

しかし、指紋とDNAは、すべての治療記録がある歯医者さんと違って、逮捕された犯罪者以外の方は当然保管されていません。そこで、当面の対処法としては、一般市民の指紋とDNAを本人居宅に保管しておくとともに、居宅以外の場所、例えば実家や親族等に預けておくダブル保管が正攻法に思います。

 

今や、仕事やレジャーで海外等に行かれる方は、“保険に入ったつもり”で自分の指紋だけでも残しておいた方が得策に思います。

また近頃、南海トラフ地震も懸念されている時節柄では、何が起きてもおかしくない時代が気にかかります。

因みに、私たちの家族は、全員の指紋と掌紋を自宅と会社にダブルで保管してあります。