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災害時の身元確認方法とは?

今年も順調に梅が咲き、弊社隣の白山神社の桜・ソメイヨシノも例年より長く咲いていて、季節の移ろいを肌で感じています。

 

昨年は梅の開花時に霜が降りて不作でしたが、今年は天候に恵まれて、梅の実も豊作になること間違いなしです。

また、これからの登山では、ピンクと白色のヤシオツツジや山ツツジ、シャクナゲがトンネル状になり、登山客を待っている時期が到来します。

 

 

昨年は、日光鶏頂山の古道で自然にできた白ヤシオツツジの古木群落を見つけたのでどんな咲き方をするのか、楽しみです。

 

 

さて、先の東日本大震災で亡くなった方々の行方不明者は、新聞では岩手、宮城、福島、3県の犠牲者(1万5749人)でした。

その方々の身元確認は、家族が遺体の顔や体型から特定されるのが9割です。
しかし、1割の方は遺体の損傷が激しく、家族が見ただけでは、人の特定ができません。

 

そのような場合の身元確認方法とその割合は、歯形7.9%、DNA1.1%、そして指紋・掌紋が2.4%でした。
(警察では、遺体の検死時に必ず歯形、DNA、指紋・掌紋、身体的特徴、所持品、を記録しています。)

 

 

このような分布になったのは、「津波」という特殊な天災によって、自宅が軒並み流失したため、個人を特定するDNA、指紋・掌紋資料がほとんど残っていないという背景がありました。

そういったなかで歯形の身元確認データは、歯科医院にカルテとして保管されていたために身元が判明したケースが多かったそうです。

これを踏まえて歯科医師会は、この教訓をさらに高めようと画策しているそうです。

 

 

では、指紋についてはどうでしょうか。

 

 

やはり、DNAと同じように自宅の遺品から本人の指紋を採取しますが、今回はDNAが1.1%に対して、指紋・掌紋が2.4%ですからおよそ2倍の身元確認に役立っていました。

この場合の対照に用いた指紋を「在宅指紋」と言い、生活しているうえで付着した指紋を検出して照合に用いるのです。

対照に用いられた「在宅指紋」の入手方法ですが、

自宅が流失した方は、自宅以外に保管されていた書類や、生前に出した手紙から検出した指紋が功を奏したものと言えます。

 

 

また、自宅の流失を免れた方は、生前より自宅に保管されていた物から、指紋を検出したものと思われます。

 

そうすると、肝心なことは、歯形による確認のように、自宅以外の場所にも、バックアップとして自分の指紋を保管しておくことが理想的、と言えるでしょう。

 

 

生命保険と同じように、まさかの災害時に備えた施策が必要かもしれません。つづく。

 

 

齋藤鑑識証明研究所
取締役会長 齋藤 保