警察では、殺人事件の被害者や自他殺不明の死体が発見されると
大学病院法医学部や監察医務院で解剖が実施されます。
この時、警察からは
捜査一課の検視官、鑑識課の現場班長はじめ担当者などに混じって、
指紋係員も同時に駆けつけ
解剖に立ち合って、指紋の採取をします。
解剖に指紋係員が臨場するという事実は、ほとんどの方が知りません。
ですが、死体からの指紋の採取は、死亡者の身元の確認、足取り捜査には
欠かせない資料です。
指掌紋採取の際は、死後硬直が始まっていると 指が開かず、想像以上に難関です。
そこで指紋係員は、専門家として技術や改良した用具を駆使し、採取します。
また、ご遺体は解剖が終了すると火葬にされてしまいますから
そうなっては後の祭りですので、繰り返し採取します。
そのため、解剖医の先生には、
指の状況と爪の間の微物を真っ先に確認していただくよう促しながら
指紋押捺の許可を得て進め、
素早く採取してすぐに引き上げます。
時には、解剖医の先生とやりあうこともありました。
解剖は、数時間かかりますから、終わるまで待っていられないのです。
指紋係員は、鑑識課に戻ると間髪を入れずに照合業務に入り、
そして得た照合の結果を鑑識課長に報告し、
順次、捜査本部ないし捜査一課に照合の結果が報告されていきます。
当時は、私もまだ若かったので動けましたが、
最近では体力を失わないよう、
日々の鍛錬として筋トレをしながら鑑定に臨んでいます。
そして今でも
中学校の恩師・武井岩夫先生からいただいた「鍛錬」の言葉は忘れません。
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齋藤鑑識証明研究所
取締役会長 齋藤 保