2019.11.08 鑑定人の日常

“民間鑑定人”は、どのような人が行っているのか?

 私は、“民間の指紋鑑定人です”というと、大半の人が「え、警察の下請けですか」という返事が返ってきますが、警察からの下請け業務は1件も請け負ったことはありません。

 

一般では、それだけ指紋鑑定は警察が行なうものだ、という観念が染みついているようです。

 

 現在の民間指紋鑑定人は、各県警察鑑識課や警察庁鑑識課の指紋鑑定官OBが特殊技術を生かして開業しているものがほとんどです。私もそのひとりで、開業してから、21年になります。

 

他の指紋鑑定人の多くは、退職後に独立開業して1年ぐらいで事務所を閉めてしまっているようです。思うに、他のOB鑑定人が開業しても長続きしないのは、鑑定技術はあっても営業力が乏しいので、独自で全国の依頼人にその存在が届いていないからだと思います。

 では、私たちの会社はどうして続いているのかというと、開業して半年後に弁護士が30人程所属している狭山事件の再審請求弁護団から「裁判所は、素手による犯行であるとの事実認定であるが、指紋がないのはおかしいから、そのおかしさを鑑定してもらえないか」との鑑定依頼を受け、これらの鑑定書を通算して10通も提出しました。

 

そうしていると、弁護団の弁護士さんたちが民間に指紋鑑定人が新たに表れたということを情報として伝え、その情報が全国の弁護士さんに広まり、刑事事件の鑑定以来を多数いただきました。また、その経過をテレビ局が放送してくれたために少しずつ鑑定依頼につながって行きました。やはり、口コミ、テレビの影響は大きく、弊社の存在を広く広報してくれたのが現在につながっていたものと思います。

 

 現在の弊社は、私の息子が社長としてともに鑑定活動していますが、唯一民間で育った鑑定人であります。息子も鑑定に従事して12年たち、鑑識のノウハウを十分身に着けており、警察内で後輩の指紋鑑定人を育てたのと同じ感じです。

 

このように、指紋鑑定人は、警察で経験するか、その経験者から知識技術を吸収するかしかないのが現実です。

 

 鑑識という素晴らしい技術を活用して、もっと多くの人々のトラブルを解決できると私は思います。そのために、今後は、多くの民間鑑定人を育てていきたいものです。

 

齋藤鑑識証明研究所
取締役会長 齋藤 保