2019.05.27 鑑定人の日常

指紋の再生と消滅

人が生きているうちは、細胞が常に新陳代謝しているため

傷ついた表皮は修復され、新鮮な表皮が肉体を保護しています。

では、指紋に傷が付いた場合

紋様はどうなるのでしょうか?

 

傷がそのまま残ってしまうのか、
それとも、傷が治って本来の紋様が再生されるのか。

 

これらは、指紋の構造と傷の深さによって変わってくるのです。

 
 

指紋の構造は、イラストのように

真皮と表皮によって紋様が維持されています。

 

ひとが怪我をしたとき
真皮が傷つかなければ、表皮が傷ついても元の指紋が再生します。

 

言うなれば、真皮は、隠れた指紋なのです。

 

もし傷が真皮まで達するものであると、永久に傷として残ります。
なぜなら真皮は修復されないからです。

 

しかしそういった場合、今度は、永久に傷として残った形が
後天的特徴としてその人固有の特徴となり、個人識別に用いることができます。

 

次に、人が死亡した場合

指紋はいつまで残っているのでしょうか?

 

皆さんも普段から実感されているように

指(指紋)、手の平(掌紋)、足の底(足紋)は、

人の行動を支える重要な働きをしていますので、

体の他の組織よりも丈夫にできています。

 

人の肉体が土にかえるとき、

一番最後に消滅するのが指紋等の表皮です。

 

そのため、完全な白骨にならない限り、

死体から指紋を採取することが可能なのです。

 

警察現職の頃、

ビニールシートにくるまれて液状化した腐乱死体から

最後に残った、わずか一片の指紋表皮を採取したので

この表皮から、指紋を再現して身元を割り出して

身辺捜査した結果、殺人死体遺棄事件を解決したことがあります。

 

DNAは、腐敗すると組織が破壊されて消滅しますが

指紋は一番最後まで残っている可能性がありますので、

事実を突き止める関係者の執念が明暗を分けます。

 

そして、いつまでも残っている

骨格の歯形、指紋、DNAは、身元確認の三要素と言えるのです。

齋藤鑑識証明研究所
取締役会長 齋藤 保