近頃は空気が乾燥して、すっかり秋らしい季節になってきましたて、すごしやすい日が津続いております。
確かに、気がついてみるともう10月になってしまったんですね。
ホームページの更新もご無沙汰してしまい、反省しております。
さて、突然ですが、我々はお客様の人生に影響を及ぼすような案件を取り扱っております。
例えば、遺言書の筆跡鑑定や嫌がらせ文書の指紋鑑定などがあり、絶対に真実を見誤る事はあってはなりません。
そこで、弊社には「確かな“真実”をお届けします」という経営理念があり、この言葉には鑑定に携わる会社として守らなければならない2つの思いが込められています。
まず、1つ目は、根拠のない鑑定結果や憶測は報告しない!鑑定とは、様々な科学的根拠から真実を鑑みて決定する行為です。そのため、「〇〇と思われる」とか、「〇〇のようである」なんて曖昧な表現はしてはいけないし、このような言葉は根拠が乏しいから出てしまう言葉です。そもそも憶測は鑑定ではないですし・・・
2つめは、依頼人がだれであろうと鑑定結果は変更しない!依頼人は、様々な事情を抱えており、一つの答えを期待して鑑定結果を求めてきますが、それに迎合せず、真実をそのままお伝えします。
また、経営理念とは、会社を設立すると同時に創業者の思いが込められて、作られるものですが、お恥ずかしながら弊社の場合、創業当初は経営理念がなく、仕事をしていくうちにあるエピソードから生まれました。
実は、遺産相続をしている、ある家族の中で遺言書が偽物ではないか?と疑われた案件がありました。偽物と疑われてしまったのは、亡くなられた方の二人のご兄弟の意見の相違でした。お兄さんの方は、遺言書は本物だからこの内容のとおり、相続すればいいと考えており、弟さんの方は遺言書が偽物の疑いがあるから、遺言書は無効だと、考えていました。
ご兄弟で話し合ったそうですが、二人は平行線で話合いではらちがあかず、弟さんが遺言書の筆跡鑑定を依頼にやっきました。遺言書を見たら、弟さんが偽物と疑うのも無理はありませんでした。なぜなら、書かれた文字は非常に乱れていて、かろうじて文字として認識できるレベルでした。聞くところによると、亡くなられた方は、寝たきりの生活が長く、意識ははっきりしていましたが、ひどく筋肉が衰えていて、長い間、文字を書いていなかったそうです。
筆跡鑑定は、遺言書の文字とご本人の文字を比較して、本物かどうかを判断するものですが、与えられた資料は、乱れた文字の遺言書とご本人の生前に書いたしっかりとした文字だけでした。
何とか、鑑定を試みましたが、これだけ文字が違うと、さすがに筆跡鑑定ができなく、泣く泣く鑑定をお断りしました。
ですが、弟さんは「ほんのわずかでも分かることはないです?」、「偽物の可能性が少しでもあれば、鑑定書にして下さい」と懇願しました。我々も民間の企業として、お客様のお役に立ちたいという思いはありますが、ここで、根拠の乏しい鑑定書を書いてお金を取ってしまっても、結局、裁判になったら、裁判所は証拠として認めないので、お客様のためにならいないと考えて、鑑定はしませんでした。
それでも依頼人は「証拠として認められなくていいから鑑定をしてくれ」とお願いをされましたが、お断りをいたしました。
今後、このような事があっても、絶対に鑑定書を作成しないよう「確かな“真実”をお届けします」と経営理念を定めました。
齋藤鑑識証明研究所
齋藤 健吾