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指紋から分かること《後半》

※写真はイメージです

 

6.身元が分かる

指紋は、個人を特定できる効果を持っているので、正体が分からない人の身元を確認することに使われます。

【事例:大規模事故での身元確認】

例えば、飛行機の墜落事故、列車事故、ホテル火災、自然災害など不特定多数の人が絡む事件・事故では、被害者を特定するために身元確認には欠かせないものです。そのため、遺体から必ず指紋を採り、そこから身元の確認をします。

なので、大規模事件・災害対策本部では、現場採証班の中に必ず指紋採取班と鑑定班が配置されます。

過去の事例から見ると、衣服とか外形で判断していますと、中には遺体の取り違いというのが往々にしてあるのです。 さらに、遺体損傷がひどい場合は、特に間違えやすいため、確実に識別ができる指紋が役に立ちます。

【事例:在宅指紋との照合】

遺体から指紋を採っても、警察で保管している指紋に一致せず、だれかわからない場合は、それらしき該当者が出てくれば、本人の在宅指紋(自宅などにある生前手にしていた物件から採取した指紋)と照合するのです。

特に、海外旅行するときは、旅行先で不慮の事故があった場合でも、身元確認できるため、自宅に家族全員の指紋を保存しておけば役に立ちます。

 

7.犯人ではないことが分かる

指紋は、犯罪捜査のイメージが強いため、一致して犯人がわかったという事に注目されがちであるが、指紋が一致せずに犯人ではないということも重要な情報として活用できます。

例えば、事件が発生して、自分に疑いがかけられた場合、現場に残された指紋と自分の指紋を照合して、一致しなければ、犯行を犯していないことの証明になります。 このように、むやみに疑われた時に、それを解消するのに役立ちます。

 

8.人を制御することができる

犯人として警察に逮捕されると指紋と顔写真をとられますが、これは、「次の犯罪を犯すと、すぐに分かってしまうから、もうするのではないぞ」という予防の一面も入っているのです。

【事例:協力者指紋】

事案の証拠物件からは、犯人の指紋以外にも被害者やその関係者の指紋も検出されます。

これを絞り込むために、社員や現場出入り者から協力してもらい、指紋を提供してもらいます。これを「協力者指紋」といいます。

しかし、このような場合、「指紋をとられたら、へたに悪いことはできないな」という気持ちになります。

何か悪い事をしたら、指紋ですぐにバレてしまいますが、悪い事さえしなければ問題ありません。

 

9.書類の真偽が分かる

自分の名前の下に、印鑑の変わりに指紋を押捺する場合があり、いわゆる「拇印」と呼ばれるものです。専門的には「名下指紋(めいかしもん)」と言います。

しかし問題となったときには、指紋には名前が書いてありませんから、いったいこの指紋は誰のものか、鑑定する必要があります。

例えば、遺言書に印鑑ではなく拇印があるときは、これの真偽が争われる時があります。この場合は、遺言者が生前に使用していた物から指紋を入手して照合すれば、すぐに真実がわかります。

【事例:偽造の見破り】

交通違反で捕まったときに、他人の名前を使って自分の指紋を押印する者がいます。 いわゆる偽名詐称というものですが、これは立派な犯罪であり、事件名としては有印私文書偽造同行使罪です。 この場合も、交通切符の指紋と容疑者の指紋を照合すればすぐにわかってしまいます。

このように、書類に指紋が押捺してあれば、すぐにその真偽がわかります。

この他に契約書などもすぐに真偽が判明するので、争いが生じないのですが、残念ながら現在の日本は、まだまだ印鑑制度が主流であるため、なかなか書類に指紋を押す習慣がありません。

絶対に争いが生じたくない契約書などは、印鑑と一緒に指紋を押してくおくことをおすすめします。