相続争いの原因と課題

そもそも、なぜ相続争いが起こってしまうのか、当社に依頼された鑑定事例からその原因をたどると次の3つが考えられます。

[相続争いが起こる原因]

 

  • 1.本人が書いたかどうかが不確かであること
  • 2.偽造遺言書が作れてしまうこと
  • 3.争いを防ぐ対策がなされていないこと

1.本人が書いたかどうかが不確かであること

遺言書は本文が手書きで書かれて、最後に印鑑が押してある。その遺言書を発見して、 内容を家族みんなで確認して、その中に不服な人がいた場合は こんな事を考えてしまう。

「遺言書は、誰かが手書きで書いて、遺言者の印鑑を押せば作れてる」と 、そうすると「印鑑の場所を知っているあいつがやったのではないか」などど思ってしまいます。

そして、疑いをかけられた人は当然に「偽装なんてしていない」と言いますが、この偽造をしていない証明を その場でする事はできません。なので、家族は疑心暗鬼になってしまいます。 つまり、誰かが疑いだしたらきりがなく、不確かであるから勝手な疑惑が生まれてしまうのです。

2.偽造遺言書が作れてしまうこと

前記のとおり、遺言書は手書きで書いて、遺言者の印鑑が押してあれば作れてしまいます。 つまり、一番問題なのが、やろうと思えば誰にでも偽造ができてしまうという事です。 これが、紙幣のように偽造か困難なものになれば、偽造は起こらないし、なおかつ偽造しようと思う人も現れないはずです。

実際のケースで、どうも相続の内容がおかしいので、気になるから念のため筆跡鑑定をしたところ偽造が判明したケースもあります。 また、偽造でありながら、鑑定しないでそのまま通ってしまっている事もあると思います。 気が付かないだけで意外と多いのかもしれません。

3.争いを防ぐ対策がなされないこと

遺言者は、相続争いが生じるのが没後であるので知るよしがありません。 そのため、生前に争いを防ぐ対策まで気が回っていないのではないかと思います。

確かに、相続などの民事事件は、刑事事件ほど注目されることが少なく、いくら裁判に発展してもほとんどの方に知られないので、 対策にうとくなりがちです。

その結果、遺言者は「うちに限って、そんなことは起こらないから大丈夫だ」という考えから対策をしていなようです。これを解消するために、国家機関として 「公正証書遺言」を設けていますが、手続きが煩雑であるため、まだまだ一般に浸透していないようです。

今後の課題

では、これらの現象は、どうして発生してしまうのか。 単純に考えてみると、結果として現在の遺言制度が完全に真実を反映するようにはなっていないことを示しています。

今の制度は、全文手書きをもって「本人が書いたもの」という前提に成り立っており、 他人が書いたものである可能性を考えていないのです。制度が完全なものならば、紛争の起きようがありません。

そこで今の課題は、これら3つの問題点を同時に解消する方策はないか、ということが求められています。