鑑定事例

高速道路の事故

※音が出るのでご注意ください

【1.事故発生】

この案件は高速道路で起こった案件です。小林さん(仮名)が高速道路の路側帯に車を止めて外に降りたところ、後方からきた車両にはねられてしまいました。
すぐさま、警察と救急車が駆けつけ、搬送しましたが、残念ながら病院で息を引き取りました。
また、事件後すぐに警察による実況見分が行われました。このときに、後方からきた車両の運転手から事情聴取をしたところ、「小林さんは路側帯に車を止めて、自殺するように飛び出してきた」と証言しました。
それを聞いた警察は、その他の状況も踏まえて、この事故を自殺と判断しました。

1救急車の写真

※ 写真はイメージです

【2.両親の思い】

小林さんの死亡の連絡を受けた両親は、自殺の認定に納得がいきませんでした。
両親は小林さんが飛び出したのではなく、小林さんを轢いた運転手が路側帯に向かって走っていき、轢いたのではないかと考え、弁護士を雇い運転手に対して損害賠償請求の民事裁判を起こしました。
2高速道路の写真

※ 写真はイメージです

 

【3.一審の判決】

地方裁判所で公判が始まり、両親の主張は小林さんが飛び出したのではなく、路側帯で車を停車して降りたときに轢かれたという内容でした。
それに対して、運転手は「小林さんが飛び出してきたので、自分に過失はない。」と主張しました。
この裁判で争点となったのが、轢いた車と小林さんの衝突位置です。
しかし、現場の衝突位置を客観的に示すものはなく、運転手の証言が認められ、小林さんは車に飛び出したと認定されてしまい、一審では敗訴してしまいました。
この判決を不服に感じた両親は高等裁判所に控訴しました。

3裁判所の写真※ 写真はイメージです

【4.鑑定依頼】

一審で敗訴となってしまい、控訴はしたもののAさんと後方車両の衝突位置が判明しない限り、二審でも同じ判決となってしまいます。衝突位置の特定ができないかどうかと当社へ依頼がきました。
早速、鑑定に必要な書類を送付してほしいとお願いをしました。すると、事故現場の写真に小林さんが着ていた衣服が写っているのを発見しました。

【5.衣服の検査】

写真に写っている服を拡大して観察すると、おなかの付近に衝突によってできたと思われる切れ目を発見しました。
この切れ目はなぜ生じたのだろうと考えると、おなかの高さは、小林さんが乗っていた運転席ドアの高さと整合していました。
つまり、小林さんが後方車両と衝突して、はね飛ばされたときに小林さんが乗っていた運転席ドアにぶつかって切れ目が生じたと考えられます。
そのため、小林さんは路側帯に止めた自分の車の付近で轢かれており、飛び出したのではないという事になります。早速、この事を鑑定書にまとめました。

5洋服の写真 ※ 写真はイメージです

 

【6.二審の判決】

数日後に、二審の判決を電話で知らせて頂きました。判決は、車両の運転手の前方不注意などから、損害賠償の一部が認められました。
そして何より、小林さんのご両親は小林さんが自殺ではなく、事故で亡くなったと認定されて大変喜ばれていました。
6裁判所の写真

※ 写真はイメージです

 

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