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“母は、強し” ≪後半≫

 当時、事件は東京高裁に移っていたので、私は同高裁に出張し、問題の指紋鑑定書を閲覧、そして写真撮影を行ないました。その時、同高裁の書記官や他の上司の方が覗きに来て興味を示し、とても親切に対応してくれたことを覚えています。

指紋の再鑑定をした結果、非常によく似ていましたが、少年のものとは違う指紋でした。

よもや、警察の鑑定官が間違うとは思ってもみなかったことです。
この現場指紋は、コンピューターによって割り出されたものでしたから、
コンピューターに間違いはないだろう、といった先入観があったのではないかと思いました。
本当に、プロでも間違うほど酷似していた指紋だったので、私も気を引き締めなければ、と思いました。

これを受けて少年の弁護人から高裁に、指紋の再鑑定書が提出されたところ、その7日後に「原審破棄差し戻し」の判決が出されました。
さすがに、この速さには弁護人もびっくり、私もびっくりでした。

ところが、差し戻し審判決の6日前、埼玉県警は「指紋鑑定は誤りであった。」と記者会見で謝罪したのです。
このことは知り合いの記者から連絡があり、私もNHKの夕方6時のニュースで見ました。
当然、差し戻し審で少年は、晴れて無罪となりました。

ここまで来たのは、お母さんの子供に接する熱意であり、私は思いました、
“母は、強し”だと。

                      齋藤鑑識証明研究所
                     取締役会長 齋藤 保