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指紋の種類と言葉の意味について

(1)指紋の種類について

指紋には「渦状紋(かじょうもん)」・「蹄状紋(ていじょうもん)」・「弓状紋(きゅうじょうもん)」・「変体紋(へんたいもん)」の4種類があり、指紋は必ずこの4種類の中のどれかの形をしています。
そのうち、変体紋は突然変異として現れる、特殊な紋様であり、日本の1%にもみたない大変珍しい指紋で、指紋鑑定に長年携わってきた鑑定人もいまだに見たことがないそうです。

以前、江戸川乱歩原作のドラマで「三重渦状紋(さんじゅうかじょうもん)」という、ひとつの指紋の中に三つの渦が巻かれているという指紋が出てきました。
本当にそんな指紋が実在するのか、鑑定人に聞いたところ「三重渦状紋という指紋はないけど、変体紋としてはありえなくはない」との事でした。

もし実在したら・・・・、普段の生活に何か支障はあるのか? 指紋鑑定の対象になったらすぐに特定されてしまうかな? スマートフォンなどで使われている指紋認証ではちゃんと登録や認証ができるのか? など、いろいろ考えてしまいました。

(2)指紋の照合

テレビドラマで、パソコンを使って指紋の照合をするシーンを見る機会があると思いますが、これは短時間で状況を分かりやすく伝え、ドラマティックに演出することが理由ではないかと思います。
実際警察では、コンピューターによる自動識別システムがあるものの、それは膨大な指紋データベースの中から「似たもの」を探すまで。

データベースの中から選別された候補から「同一のもの」を見つけ出すのは人間の目なのです。

弊社でも、依頼者様からお預かりした資料から指紋の検出を行い、検出された指紋を鑑定人の目で照合していきます。
根気のいる作業ですが、納得するまで照合を行う事で、責任を持って依頼者様に鑑定結果をお伝えできるのです。

(3)「採取」と「検出」この違い分かりますか?

よく鑑識のドラマなどで、このような台詞を耳にすると思います。

「指紋が検出できました」

「指紋が採取できました」

この2つは同じような意味と思いますが、実は明確な違いがあるんです。

「検出」は、見えないものを見えるようにする事を言います。
例えば、「指紋が検出できました」は、薬品などを使って、見えなかった指紋が見えるようになったという意味です。

次に、「採取」は証拠として使用できるように保存して、入手することを言います。
よく事件現場などで鑑識係が写真を撮っていますが、あれは現場で検出した指紋を撮影しています。(もちろん、死体や現場の破壊された痕跡なども撮影しています)

ですから、「指紋が採取できました」は、見えるようになった指紋の画像を入手したという意味です。

 

ちょっとした違いですが、意味が少し違います。

これを知っていれば、より一層おもしろく刑事ドラマが見られるかもしれません。

齋藤鑑識証明研究所
齋藤 健吾